格安SIMは5G回線が使える?通信速度はどうなの?
最終更新日:格安SIMでも5G通信に対応しているMVNOはいくつかあります。2021年1月現在、5Gに対応しているMVNOは「mineo」と「Links Mate」です。mineoの5G通信については概ね好評ですが、Links Mateの5G通信は「4Gと変わらない」といった不満の声が挙がっています。いずれのMVNOも5Gに対応している地域はまだまだ少ないのでこれからの展開に注目です。
先ごろ、相次いで発表された大手通信キャリアの20GBの新料金プランでも、今夏から「5G」通信が利用可能になるなどがアナウンスされ、徐々に「5G」が実用化に向けて動き出した感がありますよね。
20GB=3,278円の新料金プランを歓迎するユーザーがいる一方で、「月間20GBも使わない」「もっと料金を安く抑えたい」というユーザーもいることもまた事実です。
そうした小容量派、節約派のユーザーは、MVNOを利用するケースも少なからずあります。また、格安SIMユーザーの方の中には「5Gはキャリアだけ?」と興味を持っている方もいるでしょう。
そこで今回は、早くも「5G」通信を利用可能なMVNOをピックアップし、実際に利用した方の感想なども紹介してみようと思います。
5G通信サービスを提供しているMVNO
2021年2月現在「5G」通信サービスを利用できるMVNOはmineoとLinks Mateの2社です。
いずれも、5G専用プランとしての提供ではなく、既存の4G通信プランにオプションとして5G通信の利用を付加する形で提供されています。
Links Mate(リンクスメイト)
Links Mateは、サイバーエージェント系の「LogicLinks」社が運営するMVNOで、モバイルゲームに特化したカウントフリーサービスを提供しており、ゲーム好きなユーザーの支持を集めています。
Links Mateの5Gオプションは2020年6月8日と非常に早い段階から提供を開始していますが、その背景には、LinksMateがメインターゲットにしているゲームと5G超高速通信の親和性を鑑みてのことと思われます。
「5G回線オプション」は、1契約回線ごとに月額550円でNTTドコモの5G通信を利用できるサービスです。
「5G通信オプション」が利用可能なのは、「音声++SMS+データ通信」「データ通信」のみであり、「SMS+データ通信」では利用できません。
「5G通信オプション」は、ネット上からの申し込みで利用可能となりますが、既存回線にオプションを付加する場合には「5G回線変更事務手数料(550円)」がかかります。新規契約時に5Gオプションを一緒に申し込んだ場合は手数料が無料です。
また、3G/4G/5Gの各々の通信は、必ずしも全ての回線を利用できるわけではなく、3G-5Gは同時に利用できない等がありますので、事前に確認しておくことが必要です。 なお、「5G通信オプション」を利用するには、5G対応端末が必要です。
➡ Links Mate「5G通信オプション」の動作確認済み端末
mineo
mineoは、関西電力グループの通信会社である「オプテージ」が提供する格安通信サービスで、2020年12月1日より「mineo 5G」のサービス提供を開始しました。
「mineo 5G」の最大の特徴は、トリプル・キャリアである事を活かし、NTTドコモ・au・Softbankの3キャリア全ての回線で、月額220円の加算で5G通信オプションを利用できる点にあります。
現時点で、コンシューマー向けの5G通信サービスの提供は、Links Mateとmineoのみですが、NTTドコモの5G通信のみのLinks Mateに比べ、mineoは3キャリア全てで5G通信を利用できる点はアドバンテージと言えます。
一部に5G通信が使えないSIMがありますが、mineo 5Gは基本、全ての料金プランにオプション追加で利用する事ができます。ただし、「mineo 5G」の利用には、5G対応端末を用意する必要があります。
MVNOの5G通信サービスの実効速度
LinkMate
出展:https://twitter.com/_p9tr/status/1325428850969333760
出展:https://twitter.com/_0rze/status/1277528269043019777
LinksMateのドコモ回線による「5G回線オプション」では、驚くほどの高速データは取れていないようです。そもそもサンプルデータ自体が少ないのですが、最大でも20~25Mbps程度で、4Gと大差ないとの評判が目につきました。
mineo
mineo 5G を浴びてきた
— りお (@ncmrnn) December 14, 2020
MVNO でも速度でるね pic.twitter.com/6aAasXNtvP
そもそもmineoのラウンジの中で計測したLTEが速すぎて、Wi-Fiでつながったか、それともここも5G入るの?!?!ってなった
— ゆめおりかなた (@harukasumi) December 19, 2020
LTEでこんな速度見たことない… pic.twitter.com/vEEeuIxbJx
ドコモショップ川口の店頭にて5Gスピードテスト!
— Nobさん8884 (@NobuoTakahashi5) January 9, 2021
mineo D 5Gにて、初めてこんな速い速度に。 pic.twitter.com/KSEhFMeICr
mineoでは200~500Mbpsの実測値がアップされており、混雑時間帯でなければ「5G」の超高速通信を利用する事ができているようです。
もちろん、現状では利用可能エリアは大都市圏に集中していますし、カバーエリアも狭いです。 後述する通信混雑時の速度低下などのネガ要素を理解した上で利用するのであれば、オプション料金も安いので利用してもよいのではないかと思います。
しかも、mineoの場合は3キャリア全てで「mineo 5G」を利用できるので、現在の契約を切り替える事なく試す事ができる点も評価して良いと思います。
現在のMVNOの5G通信サービスの状況
そもそも「5G」とは何かと言えば「Fifth-Generation(第5世代)」という意味なのですが、何が第5なのかと言えば、モバイル(携帯やスマホ)通信の第5番目の規格なのです。
簡単に言うと、ガラケーに使っていたのが「3G」、スマホに使ってきたのが「4G」、そして、今まさに「4G」から次世代「5G」へと移行する過渡期…と言うことで、多くの注目を集めているという訳です。
5Gの特徴は、大きく分けて3つです。
- 高速大容量通信
- 低遅延
- 多数同時接続
しかし、現時点の「5G」は、SA(Stand Alone)ではなく、NSA(Non Stand Alone)のため、3つの特徴のうちの「高速大容量通信」以外の、「低遅延」「多数同時接続」については実現できていないのが実情です。
Stand Aloneとは、英単語のままで「独り立ち」と言う意味で、他の何かにお世話にならずに「5G」が「5G」だけで成立している状態を指しますが、現状は、「POI(Point Of Interface=相互接続点)」の共用など、早い普及が見込める既存の4Gネットワークを拡張する「NSA」方式での導入が進められています。 このため、SA状態での「5G」の本来の性能をフルに発揮できていない状態なのです。
画像出展:https://king.mineo.jp/upimages/view/magazinesectionimage/654811/fullsize
「POI=相互接続点」とは、MVNOが大手キャリアから通信回線を借り受けて通信サービスを提供する際に、自社の通信設備とキャリアの設備を繋ぐポイントのことです。
MVNOの通信で、朝夕や昼12時台に速度低下を起こす事はご存知だと思います。
この速度低下は、「POI」に通信が集中することで通信の大渋滞が発生する事が原因なのですが、NSAの状態で「POI」を共用している現状では、4G通信で混雑する時間帯には、そこを通過せざるを得ない「5G」通信も速度低下を起こしてしまうのです。
上図の「接続点(POI)」の部分が、4G・5Gで別々の「筒(接点)」が構築されている状態を「SA」と言う訳ですが、現状は、POIを共用しているため、混雑の影響は5Gにまで及んでしまう訳です。
では、MVNOの「5G」は4Gと変わらないじゃないか…と思われるかもしれませんが、そんなことはなく、通信が混雑しない時間帯には「5G」通信が滞る事なくPOIを通過する事ができるため、「5G」本来の超高速通信が実現できます。
MVNOで提供が開始されている「5G」通信サービスの利用を検討している方は、時間帯によっては「5G」も通信混雑の影響を受け、速度低下を起こしてしまう事を理解した上で利用する必要があります。
MVNOの5G通信サービス まとめ
今回は、2021年1月時点で5G通信サービスのオプションを提供しているMVNO2社についてチェックしてみました。 mineoでは200Mbps以上の超高速通信を体感できるため、月額220円の低料金ゆえに「ものは試し」で利用しても良いかもしれません。
ただ、現状5Gエリアはごく限られた地域でしか利用できないため、あまり実用的ではありません。 自宅や職場などでの利用が実現しない状況で、わざわざスポットまで出向いて利用するのは現実的ではないと感じました。
「Ahamo」「Povo」「Softbank on LINE」だけではなく、サブブランドの新料金プランでも、今夏を目処に5G通信サービスが提供される予定で、キャリア各社は夏までにある程度のエリア拡大を見込んでいるようです。
大手から通信網を借りているMVNOの5Gエリアもキャリアのエリア拡大に準ずるので、Links Mate、mineoいずれも、今夏からはもっと実用性がアップする可能性が高そうです。
また、今後、端末の買い替えを検討されている場合には、当然、5G対応を見据えた端末選びを意識しておきましょう!
すまっぴー編集部は2015年から格安SIM比較に関するコンテンツの企画、制作、編集しています。毎年15台以上実際に使ってわかったおすすめの格安スマホを紹介します。毎月20枚以上の格安SIMの通信速度計測も行っています。