話題の「端末分離プラン」とは?通信業界を変える!
最終更新日:分離プランについて解説と考察です。2019年3月に入って総務省が内閣に提出した「電気通信事業法の一部を改正する法律案」が可決されると「分離プラン」は義務化され、携帯料金が安くなる可能性があります。まだ可決はされていませんが、もうカウントダウンというところです。「分離プラン」によってなにが起きるのか、どうなるのかを解説し考察を述べています。
日本の携帯会社は、キャリアである docomo・au・SoftBank の電波を使用することによってモバイルデータ通信の送受信が可能となります。
その上でキャリアの料金について、ユーザーの声だけでなく、政府としても現状を省みて通信料金と端末料金を分ける「分離プラン」の方針を発表しました。
方針を発表したのみでなく、実際に2019年3月に総務省が内閣に提出した「電気通信事業法の一部を改正する法律案」が可決されると、「分離プラン」は法律で義務化されることになります(2019年4月現在はまだ可決されていません)。
では、端末分離プランを導入することによって何が起こるのでしょうか。
ここでは端末分離プランのメリットやデメリットだけでなく、今後の展開などについて触れていきます。
政府の発表と方針
2018年11月26日、「分離プラン」の方向性を大きく決定する総務省の「モバイルサービスなどの適正化に向けた緊急提言」が発表されました。
分離プランがどういったものであり、今の料金プランがどのような評価を受けているのか見ていきましょう。
分離プラン施行前の「現状」の料金プラン
現状の携帯電話の料金は通信料金に加え、端末料金が同時に請求される形が多くなっています。
特定の端末を購入する場合のみに割引が受けられるまたは割引額が大きくなると言ったサービス体系となっているのが現状です。
auとSoftBankは分離プラン対応済み
auとSoftBankについては、すでに「分離プラン」には対応しているものの、現行プランの料金も改定される可能性は大いにあります。
分離プランは、携帯電話の料金が現状よりもシンプルでわかりやすい料金にすることが求められています。
現行プランは事実上横並び
現行の料金プランは、各社で自由に設定しているものの、各社の料金は事実上横並びと言えるものであり、段階的に通信料が上がったうえで定額が決まっているものと最初から一定数のパケット容量に対して課金されるものなどがあります。
また、プランによっては1年以上の拘束を強いるものもあり、現状の料金に対する大衆の不満は非常に大きいと言えるでしょう。
分離プラン施行前の「現行プランの問題点」
- 同一プラン(同一データ容量)でも「購入端末によって料金が変わる」
- プランを理解しても「他社と正確な比較が難しい」
- 業者による拘束が長くなれば長くなるほど「市場の競争力が阻害される可能性が高い」
上記の問題点を解消するために、端末の購入を条件とする通信料金の割引を完全に廃止し、通信料金と端末代金を完全に切り離すことを目標としています。
たとえば、ドコモの「docomo with」は購入する端末によって月額料金が月々1,650円割引きになりますが、そういった割引サービスが完全に撤廃される可能性が高いです。
契約期間の長さによる契約の優位性の排除
拘束期間(契約期間)の長さについても総務省は言及しています。現状の料金プランでは、家族などの特定単位が同じキャリアと契約を結ぶことによって、容易にキャリアや通信会社の変更ができないといった実情もあります。
拘束期間に関しても契約期間の長さによって料金的に著しく不利となるプランの見直しなどにも言及しています。
たとえば、ソフトバンクの「2年定期契約なし」だと最安の「通話基本プラン」でも4,620円になり、2年契約ありの場合は1,650円なので月々2,970円も料金が跳ね上がることになります。
総務省は不利な条件での契約を問題視
総務省は、ユーザーの意思を尊重した料金プランの設定を目指しています。
長期的に契約を行っているユーザーに対して還元していくというサービスに対して否定的な意見を持っているわけではありません。料金の支払いに著しく不利な条件で契約を開始することが問題視されているため、今後長期的なユーザーに向けた新しい割引サービスなどが作られる可能性が高いでしょう。
分離プランは、総務省から正式な見解が出されたことから、各社はその内容に沿った料金プランの策定を急いでいます。
当然、キャリアだけでなく格安SIMを扱うMVNOにも影響が出るでしょう。現状のプランの問題点が分離プランによって、すべて解決されるとは限らないため、今後の動きに注目です。
「分離プラン」のメリット
通信料金が下がる可能性がある
分離プランにおける最大のメリットは、通信料金の値下げにあります。
今までもキャリアの料金に関しては不満が多く、シンプルなわかりやすいプランというニーズに応えられてはいません。
分離プランになった場合、どの程度まで変更があるかは不明であるものの、政府は現状の4割程度は安価にできる可能性があると示唆しています。
携帯料金の明瞭化につながる
現状ではパケット容量に対する料金設定のあり方は不明瞭であり、価格が適正かどうかを判断する基準はありません。パケット容量のみなら格安 SIM を使用した方が月額料金が安く済むため料金面のメリットがあるのは明白です。
プラン料金がわかりやすくなる
分離プランの導入で、料金が安価となるだけでなく、我々にとってわかりやすい料金プランの提供が可能となるでしょう。
もちろん新しい料金プランであるため、キャリア側及び利用者側が相互に理解する必要はあります。しかし、今までのプランよりも明確でわかりやすいといったメリットは非常に大きいです。
「分離プラン」のデメリット
端末の価格が高騰する恐れがある
分離プランのデメリットとして考えられるのは、通信料金が安価となるためにおこる「端末の料金に引き上げ」です。
現状、キャリアで販売されているスマホの多くは端末代金が非常に高額であり、その端末料金を含んだ月々の料金に対して、割引を付与するという形で料金を抑えています。
分離プランとなった場合、端末代金の割引はないため、高価な機種などは大きな負担となります。可能性としては、端末代金と通信料金それぞれで別々に割引されるなどは考えられますが、まだ分離プランの方向性が決まっていないため何とも言えません。
「結果的に料金が変わらない」という事態を避けることが大きな課題
月々の携帯料金が安くなることは利用者にとってうれしいメリットです。しかし、端末代金に一切の割引をしないと高価な端末を製作しているメーカーにも影響が出ることになります。通信料金が安価となっても現状の料金とあまり変わらないといった事態を避けることがキャリアと総務省の課題になります。
今後どうなるのか
分離プランの導入によって、通信料などの基本料金が引き下げられることは予想されます。
総務省の方針と内閣の発言をどこまでキャリアが履行するのかは現状では不明ですが、通信業界における料金プランを大きく変える事態に発展するでしょう。
シンプルでわかりやすいプランが導入されることによってキャリアのみならず、MVNOにも流入しやすくなるといったことが考えられます。
キャリアによる囲い込みという点では、携帯事業だけでなく光回線や電気なども含んだ総合的なコストを見直すいい機会になるのではないでしょうか。
他社のサービスと比較が容易になる
インフラを1つのキャリアで統一している場合など、他のキャリアと比較すること自体が面倒と感じることも少なくありません。
同一の通信会社などで統一している場合、サービスが複雑であるため、利用者も変更そのものがわずらわしいと感じることもあります。
他のサービスと連携したうえで割引が入るといったケースは今後も考えられますが、端末と料金プランを混同しないことで、今まで通りの横並びの料金ではなく各社の戦略に沿った料金プランとなる可能性を有しています。
まとめ:基本料金の値下げの可能性は大いにある
本格的な端末と通信費の完全分離プランは今後展開されるもので、携帯電話の基本料金は現状よりも安くなる可能性を大いに有しています。
政府が大々的に現行プランに対する問題点や不満点を挙げていることから、キャリアはサービスの変更を余儀なくされているのが現状でしょう。
今後、キャリアやMVNOが「プランがどうなるか」も「料金がどうなるか」も現状では不明です。
各社の方針と政府の発表を踏まえたうえで、今後自分がどのような料金プランで通信事業者と付き合っていくか、じっくりと比較・検討しやすくなるでしょう。
通話でdocomoを使用。アプリ・データ通信用にmineoを使用中。光回線とのセットでdocomoの契約をしていた為、解約しづらい雰囲気があったが、料金がネックとなった。通話の機会も減りつつある為、今後完全にmineoに乗り換える予定。